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2012年2月11日 (土)

医療学習ノート 「長生きしたければがん検診は受けるな」

週刊現代2012年2月18日号 「長生きしたければがん検診は受けるな」より
岡田正彦・新潟大学医学部教授

 新潟大学医学部教授の岡田正彦氏(65歳)は予防医学の第一人者で、現代医療の無駄の多さ、過剰さに疑問を呈し、健康のために真に必要なものは何なのか、独自に調査・研究を進めている。
・20年以上前のチェコスロバキアで行われた肺がん検診の追跡調査。検診を定期的に受けていたグループは、受けなかったグループよりも肺がんの死亡率が圧倒的に多く、それ以外の病気による死亡率も明らかに多いという結論。
・欧米各国のより精密な追跡調査でも、「検診を受けようが受けまいが、寿命が延びることはない」という結果。
・肺がんの検診を受けると死亡率が高くなる理由の一つはエックス線検査にある。放射線を浴びても、それを上回る早期発見のメリットがあるということを科学的に証明した論文はない。
・イギリスの研究チームが医療用エックス線検査によって起こったがんを調べたデータでは、日本人のすべてのがんのうち、3.2~4.4%はエックス線検査が原因。
・CTはエックス線検査の数十倍から百数十倍の被曝量。CTが原因でがんが発症するというデータは年々増えている。日本のCTの普及率は、2位以下を3倍以上引き離したダントツの世界一。
・手術は肉体に大きなダメージを与え、免疫力も大幅に落ちる。さらに何度もエックス線写真を撮られ、抗がん剤治療、放射線療法何重もの責め苦を負う。
・動物に人工的にがんを発生させた実験では、がんの大多数は大きくならず、身体に悪影響を与えないタイプだった。人間の場合も生涯大きくならないがんが相当ある。たちの悪いがんなら、早い時期に全身に転移するので、早期発見でも手遅れの場合が多い。検診で微細ながんを見つけ出し、激しい治療を施される不利益の方が、放置しておくよりもむしろ大きいかもしれない。
・死亡後の解剖で初めて見つかる前立腺がんが多い。がんがあっても天寿をまっとうしたといえる。PSA検査を受けていたら必ず手術になっていた。そうしたら果たして天寿をまっとうできたか。治療の弊害で早く亡くなることもある。それはすべてのがんについていえる。
・胃がんは胃がん検診が普及するよりも早く減り始めた。日本人の塩分摂取量が減ったのが理由。胃がん検診のエックス線被曝量は肺がん検診の100倍。胃がん検診を行っているのは日本だけ。
・大がかりな検診は意味がないという認識は、欧米の研究者の間に広がっている。アメリカでは、「検診は血液検査、尿検査で十分、レントゲン、心電図までは必要はない」という意見が大勢。
・検診は、ビジネスマター(金儲け)の手段として、「検診は有効だ」という人々の思い込みで進められている。
・医者は検診に否定的な説を受け入れないため、「がん検診を受けても寿命は延びないし、かえって苦しい思いをしたり、がんを発症させたりする可能性がある」という事実が、患者に一切伝わってこない。
・人間ドックでも、なんらかの病気が見つかるが、無理に治療が必要でない微細な病気も多く、結果的に過剰医療に繋がる。人間ドックがあるのも日本だけ。
・糖尿病の検査で使うブドウ糖負荷試験も、糖尿病体質の人にとって、発病の後押しをするようなもの。早朝空腹時の血糖値を図るだけで必要なデータは得られる。
・脳ドック。03年に世界13か国の医師と研究者が5年間放置した脳動脈瘤が破裂した割合を調査したところ、動脈瘤の大きさが7mm未満で0.2%、7~9mmで0.5%、9mmで3.1%だけという結果。ある程度大きい脳動脈瘤でも、破裂するのはごく一部ということ。一方、破裂予防のための手術で、1年後に2.7%が治療そのものが原因で亡くなり、半身不随などの障害を加えると、12%が死亡もしくは障害を受けていた。手術する方が、しない方より危険ということ。
・メタボ健診も有効性認められない。欧米の研究では、腹囲の大小と寿命とは無関係。WHOも06年以降、メタボリックシンドロームという言葉を使わなくなった。
・血圧降圧剤を飲んでも飲まなくても、5年後、10年後の死亡率は変わらないか、薬によってはむしろ増える。心筋梗塞や余病を誘発することもある。
・検診により、早期発見・早期治療をしても結果は変わらない。検診より予防の方が効果的。
・がんの8割は原因が分かっている。エックス線検査、放射能、たばこ、塩分採り過ぎ、野菜・果物不足が大きな要因となる。それらを解消すればがんの半分以上は防げる。野菜はジュース・サプリではだめで、生で食べるのがいい。
・薬や手術の効果は微々たるもので、生活習慣改善のほうが1.5倍の効果がある。
・検診大国・日本で健康に生きていくためには、過剰検査・過剰医療の恐ろしさをよく理解すべきだ。

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